ミクシィ・ボイスの過ち


最近ミクシィmixi)についての原稿を書いたので
その補足として、たまに真面目なことも書いてみることにする。


ミクシィは、高まるツイッター人気を受けて
2009年9月に「ボイス」というつぶやきサービスを開始したのだが、
これがミクシィの不人気を加速させることになるのではないかと
私は思っている。


多くのユーザがツイッターに流れて
ミクシィで日記を書かなくなり始めたために
その引き留め策という意味もあったのだと思うが
結果的にはミクシィの長所を自ら放棄しようとしているのだ。


今もまだ学生たちの多くはミクシィを利用していて
ツイッターをメインに使っているという学生は少ない。
それは、ツイッターミクシィのコミュニケーションの質の違いによる。


ミクシィの長所は「濃密なコミュニケーション」である。
特に、誰が自分のページを訪問したかがわかる「足あと」機能が
他のソーシャルメディアと比べて重要な役割を果たしている。
(ブログやツイッターでは、通常は読者を特定できない)
学生たちは「足あと」と「コメント」によって
マイミクたちとの繋がりを日々確認し、安心感を得ているのだ。


ミクシィの人気の理由はそこにある。


一方ツイッターは、「ゆるい繋がり」をモットーとしており
ミクシィの「足あと」や「義務コメント」などの
濃密コミュニケーションに疲れた人たちの息抜きになっている側面がある。
ツイッターのコミュニケーションはあくまで自発的なものである。


以前から確かに学生たちの書く日記の大半は、
自己表現や日々の記録としての日記というよりも、
数行の「つぶやき」のようなものが多かったので
多くのミクシィ・ユーザは気軽に「ボイス」に移行したように見える。
(私自身も日記の更新頻度は減った)


しかしボイスの弱点は、「足あと」が残らないことである。
自分のトップページからマイミクたちの「つぶやき一覧」が読めてしまうため
(しかもわざわざミクシィはそれを目立つ位置に置こうとしている)
マイミクのページをわざわざ訪問して「足あと」を残す必要がないのである。


「イイネ」や「コメント」によって
ボイスを読んだという証拠を残すことはできるが
さもなければ、つぶやきが誰に読まれたのかを確認する手段はない。
つまり、大切な「マイミクとの繋がり」を確認できないシステムになっているのだ。


今後さらにボイス利用が増え、日記が書かれなくなると
ミクシィ・ユーザたちに不安と不満が広がるであろう。
ミクシィツイッターでは、
ユーザが求めていることが根本的に違うのだということを、
ミクシィ運営サイドは理解する必要がある。